化粧する女性


電車のなかで化粧する女性を普通に見かけるようになった。誰も驚きはしない。常識となるのはもはや時間の問題なのだろう。


しかし、今回は特別なサプライズだった。朝の通勤電車、もちろんコミコミのギュウギュウである。吊革につかまって立ったまま、化粧しているお姉さんに出会ってしまったのだ。
吊革を握った手に鏡も持ち、肩にかけた、はた迷惑な大きなかばんから魔法のように次々と化粧道具を繰り出す。電車の揺れにあわせるようにブラシをかける姿に隙はない。正に名人芸である。隣のオッサンがやめてくれよと目線を送っても、動じることはない。オッサンは空気でさえもない。


人間は進化するのだ。
でも、いくら名人芸のお化粧をしても、品性は顔に滲み出るものだなぁとしみじみ思う。