製造業のおもてなし


工場見学を活用して、売上げを増やすことに成功している企業がある。新潟県の精密機械メーカー「 ジェイシーエム 」だ。

精密機械を作っているので、当然ながら工場は清潔に整備されている。ジェイシーエムはそれ以上の取り組みをしているのだ。


中山立行社長は「 歓迎ムードをいかに作り出すかがポイント 」だという。
一つ一つの仕掛けはささいなものだが徹底しているのである。工場の玄関に入ると「 歓迎ボードとスリッパにはさんだ歓迎カード 」がある。ボードは廊下にもあり、応接室の席とハンガーにも「 歓迎 」の文字、さらには出されるコーヒーや茶菓子に、相手の名前を施した歓迎のプレートが置いてある。名前の文字は手書き風の文字を選び、手作り感を醸し出す。工場見学後は、会社の近況や季節の話題などを記事にした新聞を送る。
この仕掛けを運営するために5人の女性従業員が専属している。


ジェイシーエムではおもてなしの最高峰とも言える高級ホテルや旅館のやり方を採り入れている。中山社長はモノ作りの現場にサービス業の接客感覚を持ち込んだわけだ。「 最高峰 」をお手本とするのがベンチーマーキングである。他業界のやり方をベンチマーキングして採り入れることで、違った面から自業界でピカイチの存在になれるということである。


中山社長は「 5年前にお客さまに感動を与えることが大事であるということを学び、この施策を実行した 」という。通り一遍の現場案内とは違うおもてなしは訪れた人に特別の印象を与え、その結果、売上は約6倍に急増したとのこと。