日米の組織文化


アメリカ人の組織は「 モジュール型 」である。一人ひとりが組織を構成するモジュールであり、ボスから個別指示が与えられる。各モジュールは同僚のことなど考えなくとも、それぞれがボスの指示をきちんと遂行していれば良い。あるモジュールの動きが悪ければ、比較的簡単に取り替えることができる。
中国人の組織は「 ネットワーク型 」といえる。会社の部課といった公的な組織とは別に、個人どうしのネットワークがあり、そのネットワークを通じて仕事がなされる。このネットワークを中国語では「 圏子( チュエンツ )」と呼ぶ。
日本人の組織は「 擦り合わせ型 」である。構成員どうしで自発的な擦り合わせをして、助け合い、補完し合って、全体の仕事が進む。


このように世界にはいろいろな組織文化があるが、グローバル化の時代には、異文化の接触機会が増えて、文化間の摩擦が 起こる。日本企業に就職したアメリカ人が「 モジュール型 」で仕事をしていると、「 擦り合わせ 」をあたり前とする日本人から見れば、「 あいつは言われたことしかやらない 」と不満が昂じる。また日本企業で働く中国人が「 圏子 」のボスの方ばかりを見て仕事をしていると、「 あいつはごますりばかりで、皆と力を合わせない 」などという批判が起こる。


純粋な日本の組織だったのに、経営者がアメリカ人になった場合は実に大変である。
部下が自発的に働くことが理解できない。だから一切認めない。仮に部下の行動が良い結果をもたらしたとしても
「 私は聞いていない 」、「 私の指示ではない 」と評価してもらえないどころかクビにさえなるのだ。米国資本に買収された会社は大変なことになっていると聞く。