沙羅

諸行無常



沙羅は夏椿の別名である。山中に自生する落葉高木で夏に椿に似た白色五弁の花をつける。幹は赤褐色で光沢があり、朝に咲いて夕に散る。花が咲き誇る時期は短く、美しく咲いた姿のまま地に落ちる。「 祇園精舎の鐘の聲 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理を顕す」と平家物語で有名な沙羅双樹は、この夏椿のこと。


杵屋のお菓子「 沙羅 」は、姫路から市川をさかのぼった播州平野の奥、福崎の応聖寺にある樹齢二百年の沙羅の木をモチーフに創製されたもの。極上のもち米で作ったお餅に、白あんと卵黄とを混ぜた黄味あんが包まれている。黄味あんが白いお餅の肌を通して微かに浮かび出て、無常の花の優雅さを漂わしている。
程よく抑えられた甘みに黄味あんのほっこり感と羽二重餅のとろけるような柔らかさが絶妙においしい。