世界はオレ様を中心に回る、を徹底する実力者 「 スティーブ・ジョブズ 」


人格とか徳とか義理人情とかの対極を貫く生き方に、爽快ささえ感じます。

「 役に立つ恩義は利用し、役立たない恩義は犬に食わせろ 」
他人から受けた恩に対して感謝などまったくしない。「恩知らず」と言っていいほど情実無用の人間。目的達成のためには、たとえ毛嫌いしているビル・ゲイツとでも平気で手を結ぶ。相手の弱点をためらいもなく攻撃し勝利をものにする。

アップルを追われ苦しんでいた自分を救ってくれた恩人、ギル・アメリオを入社後のクーデターで追い出したり、ゲストスピーチをドタキャンしたりと、マキャベリズム的な言動に驚かされるが、ディズニーを手玉に取った話や、ピクサーiMaciPodのサクセスストーリーは痛快です。

世間では、失敗することで自分の弱点に気づき、それをかてに進歩し人格を向上させていくというのが一般的ですが、ジョブズは、独りよがりで傲慢で自分の弱点の反省などはせず、強みだけをさらに鋭く研ぎ澄ませて進化し成功へとひた走ります。その素顔と人心掌握のテクニックに魅了されます。

「現実になど自分の決意の邪魔はさせない」という強固な意志。
スタンフォード大学で行われたという伝説のスピーチは感動的です。


でも、こんな人とは一緒に仕事したくないような気も………。


引用文献:スティーブ・ジョブズ 神の交渉術 」 竹内一正 著、経済界 刊