経営方針を具体的な行動イメージに落とし込む


多くの会社では、もっともらしい 「 経営方針 」 を掲げている。そしてそのほとんどが抽象的な内容であることが多い。しかし、どうすればその経営方針を実現することができるのかまでを具体的にしている会社は少ない。
行動が明確にイメージできなければ、経営方針はただの 「 お題目 」 で終わってしまう。


自社の 「 コア・コンピタンス 」 や 「 事業ドメイン 」 を定義することは重要なことである。抽象的な概念を語るにあたっては、「 定義 」 を明確にすることが大切だ。企業経営においては、「 コア・コンピタンス 」 や 「 事業ドメイン 」 の他にも、さまざまな抽象概念をもって語らなければならない場面が多くある。

単純な数値目標 ( 定量的目標 ) ならば誰が見ても誤解の余地なく理解できるかも知れないが、定性的な目標となると個人によって受け止め方がさまざまに異なる。特に経営方針はあいまいとなりやすい。とても重要な事柄なのだから、その「 定義 」を明確にしなければ機能することは決してない。


経営方針の表現としてよくみられるのは、たとえば 「 ○○の強化 」 といったものだ。
強化された結果は数値目標の達成として反映されるにしても、強化された状態がどういうものかが定義されていなければ、やはり各人の理解はてんで勝手なものになってしまう。

例えば、「 販売力の強化 」 という言葉を聞いて、真っ先にイメージするのは、営業担当者の増員だろう。でもこのためには採用や配置転換にによる増員だけではなく、店員やスタッフの『 営業マン化 』を進めるという方法もある。つまり既存人員個々の販売力を強化するということだ。これは量だけでなく質の面でのアプローチとなる。
「 真の販売力とは何か 」を考えると、当日来店・当日販売よりも、後日来店・販売に結びつくような接客をした店員を高く評価し成果給を支給するという方策もある。「 店舗指導を徹底し、バラバラだった仕入れや売価を統一して粗利益率を改善 」するという方策もある。「 取引関係重視で高い商品を仕入れ 」 たり 「 値引き販売 」 の慣行を改めたりすることも 「 販売力の強化 」 になる。


「 ○○力の強化 」を考えるにあたっては、「 真の○○力とは 」 という定義づけ作業を行なうことが必要だ。
「 真の○○力とは何か、それはどうすれば実現できるか 」 を突き詰めて考えていくと、さまざまなアプローチやアイデアが浮かんでくる。