誰のための情報開示なのか


この季節、企業評価やCSR格付け、統計調査や学術研究のための調査票やらアンケートやらが毎日のように企業のCSR担当者のところへ送られて来て、対応する側は大変な状況になっています。CSRが流行ってきたためなのでしょう、ここ数年でその数は格段に多くなっています。

質問内容も細かくなり、1つの調査票に回答するだけで1ケ月が過ぎてしまうこともあります。会社のデータは基本的には決算時期にあわせて集計されるようになっていますので、3月、9月時点で聞いてくれるのならばたいていの会社は対応するのにそんなに手間はかからないのですが、集計する側の都合で「 11月末時点で 」とか「 2月末時点で 」 とか妙な期間指定があります。そんなにフレキシブルに数字を拾えるような仕組みになっている会社は少なく、たいていの場合はわざわざ、いちから集計し直さないといけないため、ほんとうに大変なことなのです。


そしてそんなふうに手間と時間をかけて回答した結果はというと…。

どうしてこんな評価になっているのか、判断基準は何なのか、他社に比べてどうなのかと、実はさっぱり判りません。結果が公表されることはないからです。全ては評価会社の 「 ノウハウだから 」 というブラックボックスの中なのです。統計処理されたデータなんぞフィードバックされても意味がありません。いわゆる「 平均的な会社 」 というものはいったいどこに存在するのでしょうか。教えてください、秋山さん。


日本でSRIファンドが拡大しない理由のひとつはここにあるような気がしています。
「 オープン、シンプル、ストレート 」
SRI評価を投資家のみなさんに、企業の担当者に、わかりやすく開示して欲しいと思います。


だから、企業としては1ケ所にデータを開示すればで済むようにしてもらいたいと切に思います。
各企業のデータが1ケ所に集めて開示されている。調査会社はそのデータをもとに"独自のノウハウ"で評価する。もちろん、その評価の判定基準も開示する。

こうすると、企業側としては一度だけ調査票に回答すればよく、調査会社は自分たちでデータを集める手間がなくなり、集めたデータが売れて、一元化されたデータを使って評価業務を行うために調査会社間の優劣も自ずと明らかになる。そして投資家は、企業データも評価基準も全て開示されているので、自分で会社の選別もできる。
みんなハッピー。

どうですか? このアイデア


マスコミでは東洋経済新報社が「 CSR企業総覧 」 という企業別CSRデータを一覧にした書籍を作っています。
NGOでは日本財団が「 CANPAN CSR+ 」 というサイトで企業や団体のCSR情報を集約しようとしています。
この2つが合体するといいのになぁ、と思っているこの頃です。