エコファシズム


国連にIPCC( Intergovernmental Panel on Climate Change )という組織がある。「 気候変動に関する政府間パネル 」という。「 人為的な気候変動のリスクに関する最新の科学的・技術的・社会経済的な知見をとりまとめて評価し、各国政府にアドバイスとカウンセルを提供することを目的とした政府間機構 」だ。

その「 第三次評価報告書 」を眺めていたら、「 温暖化で氷が溶けて地表が水没するとか言ってるけど、もしかしたらウソなの? 」という記載がある。

・気候における主要な側面のいくつかは変化していないように見える。
・地球のいくつかの地域,主に南半球の海洋と南極大陸の一部では、この数十年温暖化していない。
・南極の海氷面積は,信頼できる衛星観測が得られている1978年以降、有意なトレンドは見られない。
・地球全体で見た場合,熱帯低気圧及び温帯低気圧の強さや発生頻度の変化は,10年〜数十年変動に支配され、20 世紀においては有意なトレンドは見られない。
・低気圧の活動の変化については,特に温帯域において相反する解析結果があることから、明確な結論を導くことは難しい。
・南極の氷床の質量は降水量の増加によって増える可能性が高い。
グリーンランドでは降水量の増加よりもその流出量の増加が大きいので、氷床の質量は減る可能性が高い。
・西部南極氷床は海面下で陸地に接しているので、その安定性が懸念されてきた。しかしながらこの氷床の融解により海面水位の大幅な上昇が21 世紀中に起こる可能性はかなり低いと現在では広く合意されている。
・ただし氷床の力学は、特により長い時間スケールの予測に関してまだ理解が十分でない。
・地球の平均海面水位は,SRESシナリオのすべての予測幅で、1990 年から2100年までに0.09〜0.88m 上昇すると予測される。

「 海面水位の大幅な上昇が21 世紀中に起こる可能性はかなり低く」、100年後に9センチから最大90センチ上がるかも知れないと言う、とても怪しい話である。


武田邦彦・中部大学教授がブログで「 やる気のない人たち ゴア前アメリカ副大統領 」と書いている。

ゴア氏の言動を彼の主要な政治テーマである「 地球温暖化 」に絞って見ると素直には理解しがたいことがいくつか見える。


まず、表面的なことでは、次の3つにまとめられる。

 1) ゴア氏は終始一貫、地球温暖化が大きな災害をもたらす重大な問題であると発言している。

 2) 事実、京都会議にはアメリカを代表して参加し、7%削減で署名した。

 3) 大統領選に敗れた後も温暖化の危機を訴え続け、その功績でノーベル平和賞を受賞した。


しかし、実際の行動では、次の3つが目立つ。

 1) 本国に帰れば批准されないことを知っていて京都議定書に署名した(バード・ヘーゲル決議)。

 2) 自らの主張を正当化するために間違いの多い本や映画を作成して世界の人を扇動した(イギリス高等法院判決)。

 3) ゴア氏の家の電気代は1ヶ月に30万円なのに「あなたには何が出来ますか・・・節電」を呼びかけている。


小説「ジキル博士とハイド氏(The Strange Case of Dr. Jekyll andMr.Hyde)」を思い出す。


社会で活動しているときには尊敬すべき学者「ジキル博士」だが、いったん裏に回るとその同じ人物が極悪人「ハイド氏」になる・・・今では「解離性同一性障害」と呼ばれ、昔はわかりやすく「二重人格」と言われた人間の持つ本質を描いて見事なスティーブンソンの小説である。
ジキル博士とハイド氏は同一人物であるが、昼間は医学・法学の博士として活躍し、夜はまったく姿を変えてハイド氏になって悪事を繰り返す。だから、少なくとも外から見るとジキル博士は見えても、ハイド氏は見えない。不透明である。


ところがゴア氏は、口では温暖化防止に専念し、行動は温暖化を促進して、両方とも外からハッキリ見えると言う点では「透明の解離性同一性障害」と言える。


ゴア氏は表では地球温暖化を訴える。その堂々とした姿に映画を見た人は感激し、そこで示されていることが事実と思い、自分もゴア氏の言うことに従って「自分に何が出来るだろう?」と考え、家に帰るとさっそく電気を消す。

一方、ゴア氏は映画の撮影が終わると、チャーターしたヒコーキで自宅に帰り、煌々と電気がつき、全館冷暖房の広大な自宅でくつろぐ・・・。やれやれ表の仕事は終わった・・・という気分だろう。


ゴア氏は隠さない。その点では公明正大だ。


つい、さっきまで、
TEN THINGS TO DO(あなたにできる10のこと)と呼びかけ、 Change a light (電気を節約するために電球を替えよう) Adjust your thermostat (エアコンの設定温度を適切に)と呼びかけ、自宅に帰れば思う存分に電気をつける。


ゴア氏の自宅の1ヶ月の電気代は日本円で30万円とされるが、電気料金は日本に比べてアメリカは3分の1ぐらいだから、日本では1ヶ月に100万円の電気代に相当する電気を使っている。
1一軒で100軒分の電気だ。そのゴア氏が言ったことを多くの環境運動家や文化人が感激し、ネットで「ゴアさんが言ったのだから、我々も電気をこまめに消そう!」と呼びかける。


人間とは不思議なものだ。ハッキリとサギと判るのに引っかかって不幸な目に遭う人がいる。それを近くから見ていると「あんなにウソがハッキリしているのに騙されるなんて、あいつはバカだ」と思うけれど、本人には全体を見ることはできず、その詐欺師が言ったことしか聞こえない。


「あなたに何が出来ますか?」と呼びかけ、「節電しましょう」と言い、そして自分は「100軒分の電気を使う」ということは、ゴア氏は「地球温暖化は問題ない。防止する必要がない」と思って居るのだろう。本当は「やる気がない」のだ。人間は行動がその人の真意である。

こんなことを書いてると、また「 反環境主義者は許さない 」といったコメントやらメールが山のようにくることだろう。( どんどん削除しちゃいますけど。)今はエコファシズムの時代なんだと思う。


私はCO2削減に反対している訳ではないが、1970年前後に「 寒冷化する地球 」なんて論陣を張っていた学者が、30年たったら「 温暖化する地球 」と言い出したのだから、「 なんか変じゃない 」と言いたくもなる。流行の論に乗れば多分儲かるのだろう。マスコミのニーズに合わせて都合のよい論を唱えれば教授たちは原稿依頼や出演依頼も多いし、政府から研究費もふんだくれる。

でもそんな人たちが、何らかの具体的行動を自ら実践している話は聞いたことがない。