歴史は繰り返す


株価がイケイケどんどんの上昇基調の頃にはかまびしかったSRI論議が、今ではちっとも聞こえてこない。懸念していたとおり、サブプライム問題を契機に株価大暴落になったからだ。

SRI あれこれと 《 その8 》
SRI あれこれと 《 その9 》

要するに、これまでSRIを喧伝していた先生たちは「 社会に役立つ投資をする 」とかなんとかエラソーなことをおっしゃっていたが、SRIファンドも株価下落によって損をするところを見て「 これは困ったぞ 」と黙ってしまったのである。ただ、自分たちはSRI投資などしていないだろうから損はしていない。彼らからしてみれば他人事だ。所詮その程度の議論だったのである。
そんなことで黙るのならば、儲かりそうかどうかしか考えない単なる損得勘定に基づいた投資論議でしかなかったということである。つまりはニセもの、自分のためでなくいかにも社会のことを考えてますよということを株式投資ブームのなかで言ってみただけなのです。


SRIはそんなものではない。SRIというのは自分が応援したい企業に投資することである。この世の中を少しでも良くしようと頑張っている企業を応援するのである。だからこそ、株価下落局面では売らずに、ここぞとばかりに買うのである。
そしてこのような行動は、長期投資理論ではしごく真っ当な投資行動でもある。「 今 」ではなく、「 将来の納得 」のために行動するのが、投資本来のあり方なのだ。そのためには、これから先、将来にわたって世の中や人々の生活にとってずっと必要なものに投資していくことが有効なことなのである。これこそがSRIの真髄だ。
時として地道に頑張っている企業の株価が下がることだってある。それは単に市場での評価が低迷したということだけなのに、企業の価値そのものを否定するかのように売ってしまうなんてSRIではない。

応援したい会社は、基本的にいつ買ってもいい。でも、どうせなら株価が大きく下がっているときに買ったほうが応援のしがいがある。そして、いざ応援に入ると決めたならば「 もっと下がったらどうしよう 」などとは考えない。確かに大底を確認してから買ったほうが確実ではあろうが、それは単に儲けたい一心の損得計算よる投資行動だ。そもそも、そんなことを思っていると一生買えない。「 あの時買っていれば大儲けできたのに… 」とかグジグジ悔やむのだ。そんな人に株式投資は勧めない。


みんなが売ろうとして必死になっている時には、なにもかもやたら安い。そういったときに買うので、長期投資家は結果として儲かることにもなる。逆に言えば、株価が上昇してにわかSRI応援団がいっぱい出てきた時はもう遅いのである。

そして「 SRIを拡大すべし 」なんて、そういう時になってエラソーに言い出す先生たちの名前を忘れないように控えといたほうがいい。二度あることは三度ある。