書類作成は仕事ではない


1年前の資料を必要とするような仕事はほとんどない。半年前のデータですら使えない。それほど世の中の動きは早いのだ。


それにもかかわらず、大昔の書類を後生大事に保存している会社が多い。
それは、頭のいい社員が 「 たくさん資料を作って 」、「 いつか何かの役にたつだろう 」と考えるからである。上司に 「 今まではどうだったのか 」と尋ねられたときに、スラスラと答えられることがある意味で優秀な社員なのだ。言い換えると、責任逃れのための、もしくは自己顕示のための資料にすぎない。
しかしこれでは過去にとらわれた思考しかできない。つまりは前例主義ということ。それではビジネスは進歩していないことになる。


こういう類の資料作成を「 仕事 」だと勘違いする者がいることは問題なのだ。何十枚ものレポートを書けば、それで仕事をした気分にはなれる。しかし、所詮は記録であり行動ではないので、そこから一銭の価値も生まれはしない。
将来のためにいくら立派なレポートをまとめておいたところで、1年後の社員がそれを参考にしようなどとは思わない。いったい誰がそんなものを真剣に読むのだろう。


プロジェクトがうまくいっていないときには当初のデータを引っ張り出して検証したくなることもあるかもしれない。しかし、当時と現在とでは状況がまったく違うのだから、おそらく何の参考にもならないだろう。重要なのは過去を検証することではなく、将来に向けてそのプロジェクトをどうするか検討することなのである。


私は、書類はなければないほどいいと思っている。そして書類を作れば作るほど、その人は仕事をしていないのだと考えている。