ひらいている


専門家が、専門家どうしにしか通じない言葉で話していて、その方面の知識がない人にはさっぱりわからない、という表現は閉じている。


ある会社の人が、その会社の関係者にしかわからない文脈で、なあなあ、やあやあで伝え合っていて、それをそのまんま会社の外に持ち出したら、その表現はとても閉じている。


「 子どもにもわかるように 」と簡略化するのと「 自分の常識圏の外に対して表現をひらこう 」と伝えるのとではずいぶん違う。


複雑なものをパターン化して伝えるのでなく、抽象を具体化して伝えるのでもなく、全体を部分化するのでもなく、

  • 複雑なものを複雑なままに、
  • 抽象的な話を抽象のままに、
  • 全体像を全体のままに、
  • レベルや、純度を下げないで、

自分の文脈や常識の外にいる、多様な人たちに、いかにわかってもらうかだ。「 ひらく 」というのは、相手に橋をかけるような行為だと思う。


普通の人は、本題のレベルについてこられないのではなく、企業の振りかざす常識や文脈の「 外 」に生きていて、ちょっとした入りづらさだけで本題に入ってこられない、そういうケースが多いのではないだろうか。
このところ企業のCSRレポートを読んでいて、そういうことを感じる。


わかりやすくするのではなく、ひらいていきましょう。