京観世

お正月の京菓子

京都の堀川通りと今出川通りとが交わる角に、享和三年（１８０３年）創業の鶴屋吉信がある。京都御所や宮家、有名寺社、茶道家の御用達を続ける、江戸時代から京菓子文化を支えてきた「 上菓子屋仲間 」の老舗である。

京観世は、極上の丹波大納言製の小倉あんを村雨で巻いた棹物菓子。お店の近くに能楽の観世家屋敷跡や名水の観世井があることにちなんで創製されたという。切り口が渦巻状になっているのは今も湧出する観世井の水の文様を表している。
しっとりとしたあんの濡れ具合、じんわり伝わってくる奥深い甘さ、それに大納言の風味がふわりとした村雨と溶け合い重厚な質感が味わえる。