ゆきげ杏

雪消



千曲市の森・倉科地区は一目十万本日本一のあんずの里として知られる。4月上旬から中旬にかけて一斉に開花し、あたり一面を淡いピンク色で包む。


利休堂の「 ゆきげ杏 」は、その信州特産の杏を天日で干し独自の製法で丁寧に練りあげ、まわりに砂糖をまぶした、本来の風味そのままに仕上げたお菓子。素材は砂糖と干しアンズだけ。洗練された上品な和菓子に仕上がっている。しっとりと水分を含んでおり自然な甘さと適度の酸味がとても新鮮に感じる。
雪消に現われる大地を思わせる雄大な信州の自然の恵みをお菓子にしたのだそうな。


江戸時代(寛文13年)伊予宇和島藩の藩主伊達宗利公の長女豊姫が、松代藩主真田幸道公の元へ輿入れの祭、故郷の春を忘れじとして国許より杏の苗木を取り寄せ松代町東条地域に植付けたのが始まり、という言い伝えがある。松代藩では杏の栽培を奨励し一大産地となる。当時は、漢方薬として杏の種「 杏仁( あんにん)」が高値で売買され、干し杏を食べていたのは地元の人だけ。それを参勤交代途中の加賀前田公が誉めたことがきっかけとなって、江戸で「あんず干し」として販売するようになった。明治初めに養蚕が盛んになったことから杏栽培は一時おとろえるが、鉄道の通じた明治後半、杏の缶詰め工場を開くなどして杏の産地として盛りかえした。今では生食用高級杏の産地として有名である。