柴舟

生姜の風味



金沢の犀川を、柴を積んで下っていく小船を柴舟といった。加賀名物「 柴舟 」はこの子舟を模した、反りのある小判型の煎餅である。小麦粉の煎餅に生姜の絞り汁と砂糖とを煮詰めてできた糖蜜を、手で1枚1枚、丁寧に刷毛塗りをして仕上げており、それはうっすらと積もった雪のようでもある。
打ち合わせると音を立てるほど堅いが、噛むとパリッと砕け、甘さとともに生姜の味と香りが口の中に匂い立つ。素朴な外見に似合わない上品なおいしさである。