おときき山

風味あるしろ餡



両口屋是清の「お ときき山 」は景勝地として知られた、遠く鳴海潟の波の音が聞こえたという「 音聞山 」に因むもの。ひと口大の、小高い山を模している。
柔らかな山肌を思わせる肌目の細かい皮。手に取り2つに割った瞬間ふわりと立つのは甘いミルクのような香り。しっとりとした皮としろ餡とが一体になっている。じつはここが職人の技。しろ餡を中に包んだ焼き菓子を小豆餡のものと同様に作ろうとすると、皮と餡とに隙間が開いてしまうのだとか。確かに、しろ餡を包んだ焼き饅頭の類は、食べるときに餡が皮からポロリと取れてしまうことが多い。風味のあるしろ餡は、もたつかずスッと溶け、洗練された印象の誰からも愛される味に仕上がっている。