NGOは正義か


企業は悪、NGOは正義、という図式がある。
お金儲けは悪で、社会的貢献は正義、ということでもある。
かなりの場合そうかもしれない。しかし、NGOであってもいいかげんなものもある。


かつて著名なNGOと提携して、社会貢献活動に助成する基金を何年間か運営していた。
ところがNGOへ寄付していた累計で数億というお金の、半分くらいが何に使われたのかさっぱり判らない状態であった。

「収支報告書を見せて下さい」と言っても、出てこない。
ひつこく尋ねていると、「イヤなら他の団体と組んだら如何ですか」という回答をいただいた。
そこには「おまえの会社はおれたちのネームバリューを手放すことなんかできないだろう。だからごちゃごちゃ言わずに黙っていればいいんだ。こちらが決めたことが正しいことなんだから。」という、ずいぶん上からの目線があった。

即座に提携解消を決断して、別の仕組みを探った。


「世界的なNGOといっしょに活動している」という評判が欲しくてやっている訳じゃあない。ほんとうに現場で活動している人たちを、自分たちの代わりにやってくれている人たちを、応援したいからと基金を運営していたのだから。


NGOも権威になると本来の存在目的を見失うようだ。会社が本来の目的を見失って「金儲け」を目的にするのと変わらない。
CSRの枠組みを考えるとき、無意識的にNGO・NPOが正義の代表で、企業は悪の代表であったりする。NGOにしたって企業にしたって、何のために存在するかの理念、哲学が肝心なのに。