人の幸せのための経営


人の幸せ、働きがい、生きがいを最も大切にして、「社員の幸福を通じた社会貢献」を軸とした経営を続けている会社がある。


社是は、

いい会社をつくりましょう。
〜 たくましく そして やさしく 〜


「いい会社」とは
単に経営上の数字が良いというだけでなく、会社をとりまくすべての人々が、日常会話のなかで「いい会社だね」と言ってくださるような会社のことです。
「いい会社」は自分たちを含め、すべての人々をハッピーにします。そこに、「いい会社」をつくる真の意味があるのです。


企業目的
企業は本来、会社を構成する人々の幸せの増大のためにあるべきです。
私たちは、社員が精神的にも物質的にも、より一層の幸せを感じるような会社をつくると同時に、永続することにより環境整備・雇用・納税・メセナなど、様々な分野でも社会に貢献したいと思います。
したがって、売上げや利益の大きさよりも、会社が常に輝きながら永続することにつとめます。


この会社は「かんてんぱぱ」で知られる、伊那食品工業株式会社。

二宮尊徳翁の教え「遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」を座右の銘に、目先の利益を追わずに長期的な視点で経営をしてきた。「会社は、常に何らかのかたちで社員を幸せにし、社会のお役に立つものでなければならない。その積みあげによって、豊かで安心して暮らせる社会をつくっていく」と決めた。


いくら人材を人財と言い換えてみても、「人」を道具と見なして経営の都合で簡単に取り替えたり、リストラするのが当然という米国式経営礼賛のなか、伊那食品工業は「人件費は、幸せを求めて働く社員たちへの労働の対価であり、その支払いは企業活動の目的そのもの。削減すべき経費ではない。」としている。

その想いに社員も応え、創業以来49年間、連続増収増益を続けている。

これは、成長率が高いほど評価される風潮に対して、「最適成長率を見極て、年輪を一輪ずつ増やすような、自然体の安定成長の経営を心がけてきた成果」だと言う。


引用文献:「 いい会社をつくりましょう 」 塚越寛 著、 文屋 刊