LOHASな生活


「体のあらゆる部分は心に依存している。心は財布に依存している。」(ユダヤの諺)


コットンのシャツを着てひげを生やした40代後半とおぼしき男性がしゃべっている。その傍らではハーブ畑の手入れに余念のない奥さんらしき女性。

「若い頃は家庭を顧みることなんてなかったですね。金儲けしようとバリバリ仕事してました。自分がやっていることが環境にどんな影響を与えているかなんて、考えたこともない。朝から晩まで一日中休みなく働き、夜は六本木あたりを遊び歩いて、朝になるとそのまま会社に戻ったものですよ。」

「でもね、40歳を過ぎてふと思ったんですよ。こんな生活の先に何があるのかって。ぼくたちは何かを消費しないと生きていけないわけじゃないですか。それって、わかりやすく言うと自然の命をもらっているということで………。」

そしてある日、そんな生活に疑問を持った彼は田舎に転居し、理想とするLOHASな生活を、自然と自分と家族にやさしい生活を、送り始めたのだそうだ。
自然が残る、空気のきれいな、緑の多い今の地に生活拠点を移して3年。趣味を生活の中心にして家族との時間を充実させる。調度品は職人が丹精込めて作ったもの。食べ物は有機栽培で、ときどきふと地球環境の悪化に心を悩ませる。


すばらしい。


でも、先立つものが必要なんですね、どうしても。
メディアはLOHASというライフスタイルを理想の生活だと伝えてくれるけど、生活基盤である経済面に触れることは先ずない。生活感のないLOHASはなんだかウソくさい。