あれこれと 《 その1 》

「SRIファンド」が買われている。
環境意識の高まりやCSRの一般化、ESG(Environmental, Social and Governance:環境、社会、コーポレートガバナンス、のことを3つあわせて略してこう言う。この方面の人たちは3文字略語が大好きらしい。)の考えを投資活動に取り込む責任投資原則(PRI :Principles for Responsible Investment、こちらも3文字だ!)に署名する機関投資家の増大などの影響もあるのだろうが、堅調な株式相場に支えられているのはまちがいない。


SRIとはSocially Responsible Investmentの略語で、「社会的責任投資」と訳されている。「企業への投資を行う際には、収益性や成長性という経済的側面だけでなく環境問題や人権問題などの社会的側面への取り組み状況も併せて評価して決定する」という意味である。
つまり、CSR(Corporate Social Responsibility:企業が果たすべき社会的責任)に優れた企業、すなわち社会的な公正、倫理、コンプライアンスコーポレートガバナンス、従業員の尊重、お客様への配慮、環境や地域社会に対する責任、などにおいて優れた活動をしている企業を選別してそこに投資する、ということである。


「SRIファンド」というのは投資信託である。多数の投資家から集めたお金を、専門家(ファンドマネージャー)が、環境保護に力を入れている企業とか、女性を重視して活用している企業とか、コーポレートガバナンスに優れている企業とかの視点で評価し、ここぞという投資先を決めて運用する。投資先の企業の株価が上がればSRIファンドのパフォーマンス(ファンドの基準価格)も上がり、投資家にはキャピタルゲインというリターンがもたらされることになる。


コンプライアンスを無視したり、環境破壊する企業が淘汰されていることからも判るように、「CSRに優れた企業は投資対象としても優れている」という考え方がSRIファンドの根底にある。CSRに費用をかけることのできる企業には財務的に余裕があるし、将来の必要性に備えて投資をしているということだから、CSR活動に力を入れているということは将来の業績にプラス材料という好意的な解釈もできる。
そこで「環境や社会に貢献している企業を応援する投資信託」というのがSRIファンドのセールストークにもなっている。


しかし、SRIファンドをパフォーマンスだけで評価することで、果たして十分なのだろうか?


(続く)