あれこれと 《 その10 》

私たちがお金を使う理由は、主に2つあります。ひとつは消費、もうひとつは投資です。
「 好き 」、「 欲しい 」 という感情が消費の本質です。だから消費とは、自分の満足と自分のお金との交換です。一方、投資の本質は価値交換です。株式投資だと、将来の価値を得るために今の株価と自分のお金とを交換することです。そもそも投資とは価値を買うものです。ここでの価値とは価値観のことではなく、将来キャッシュの現在価値のことです。

会社の将来キャッシュの現在価値は3つの変数で算出できます。

  1. 将来のキャッシュフロー
  2. それが得られる可能性
  3. それが得られる時期

です。

将来キャッシュの現在価値を現在の株価と比較して、株価の方が安ければ投資をします。そして価値と株価とはいずれ一致します。なぜなら私たちは貨幣価値を唯一絶対の基準とする資本主義の世界に住んでいるため、株価と将来価値は一致せざるを得ないからです。

ところで、「 投資的発想 」 と 「 消費的発想 」 を混同するとミスを犯し易くなります。投資におけるほとんどの失敗は感情によるものです。つまり 「 感情で株を買うな 」 ということです。だからといって物事の判断に消費的発想を取り込むことは悪いことではありません。大事なのは 「 投資的発想 」 と 「 消費的発想 」 をどういう割合で考えるかです。

さて、これをSRIにあてはめてみましょう。

  1. CSRに優れた良い会社だ。これは 「 消費的発想 」 でCSR評価として行っています。
  2. この会社は新しいサービスで来期の利益は倍増しそうだ。これは 「 投資的発想 」 で企業分析として行っています。

このように、SRIファンドは、1.と2.とを組み合わせて銘柄のスクリーニング ( 投資対象会社の選別 ) を行って投資していきます。1.だけで運用するファンドはありません。


( もうしばらく続く )
SRI あれこれと 《 その9 》 はここです。
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