あれこれと 《 その11 》


SRIファンドの存在価値として 「 CSR評価 」にこそ意味があるように言われていますが、リターン( 運用結果 )がなければ投資家の支持は得られません。リターンを出せないSRIファンドは運用に問題があるということです。

ところがSRI的にスクリーニングをした結果がリターンにどのように結び付くのかを、ロジカルに説明しているファンドはありません。CSRに力を入れることができる会社は余裕があって確かに良い会社なのでしょうが、ファンダメンタル分析を基にしたlooking back 的な実証はできても、これからの成長性と期待リターンがどのくらいあるのかについて納得のいく説明をしているものはありません。
一方で投資家としては、SRIファンドという名前だけで良いファンドだと単純に信じるのではなく、どのような選択プロセスや運用がなされているのかを、目論見書や運用レポートから理解することです。名前だけなのか、本物のSRIファンドなのかを判断しないといけません。「 SRIによって高いリターンが実現した 」 という事実が仮にあったとしても、「 SRIファンドだから高いリターンが実現する 」 のかどうかは全く別の話だからです。

SRIの投資環境の課題として、信用できるスクリーニングを行うには、企業側の十分な情報開示とオープンな評価基準、公正な評価が必須です。しかし日本ではまだそのような段階にはありません。逆にSRI評価プロセスをブラックボックス化することで、評価機関はSRI評価業務を自社の収益源にしています。

投資環境がある程度整備されたとして、必要なことは伝統的な手法による投資を上回るリターンを生むスクリーニングを行うために何をすればよいかを考え出すことです。これが日本発SRIの肝となるでしょう。



( あと少し続く )

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