お手軽な経営理念

お客さまを中心に考えて、
社会から信頼される会社になる


社会に貢献し、
新しい価値を創造する


個性を尊重し、
人類の幸福に貢献する


これがどの会社の「 経営理念 」 だかわかりますか。どこの会社であってもまんべんなく使えます。便利です。

「 あなたの会社の経営理念をお創りします 」というサービスをしているコンサルティング会社があります。いくつかの質問項目に回答すると、それに合わせた経営理念を作ってくれるものです。ストックされた経営理念用語のなかから適当に ( 失礼しました、最適に ) 組み合わせてカスタマイズしてくれるとか。組み合わせの数は34,256通りあるため決して他の会社と同じものはできないと説明しています。

転職した会社の経営理念が、前の会社の経営理念とほとんど同じだったため、毎朝の朝礼で暗唱させられても困らないという、笑うに笑えない話もあります。


自分たちの会社はどうあるべきか、理想を語り自らを戒め社会との約束を果たしていこうという気概も熱意も感じ取れない経営理念。単に 「 ある 」 ということでしかない経営理念。
こんなことになるのも 「 CSRは経営理念から 」を安直に形にするコンサルタントに責任があるのかもしれませんし、ガイドラインが形式的に求めているからかもしれません。

経営理念というものは、何が正しいかという、一つの人生観、社会観、世界観に深く根ざしたものでなくてはならないだろう。そういうところから生まれてくるものであってこそ、真に正しい経営理念たり得るのである。


引用文献: 「 実践経営哲学 」 松下幸之助 著、 PHP研究所