あれこれと 《 その13 》


SRIを喧伝する方が強調する、「 CSRに優れた会社は、投資対象として良い( = 儲かる ) 」 という考え方はそもそも成立するのでしょうか。

CSRに費用をかけることのできる会社には余裕があるし、将来の必要性に備えて投資をしているということでしょうから、将来の業績にプラス材料という好意的な解釈はできます。そこからさらに、CSRに優れていることがプラス評価の材料であるならば、株式投資の理屈としては 「 現在CSRが高水準な会社 」 よりも 「 CSR面は今のところいまいちだけれども、今後改善する可能性の大きい会社 」 の方が、実際にCSR面が改善した際には株価の大幅な上昇が期待できるわけであり、投資対象としてはずっと優れているはずです。

これは、BRICs等の新興国ファンド ( エマージングファンド ) と同じで、より高い将来価値 ( 成長性 ) に投資する方がリターンが大きいということです。「 グローイングCSR ファンド 」 なんてものができればものすごいパフォーマンスをあげるようになるかもしれません。


現状では 「 ポジティブスクリーニング 」 とは言いながらも、一定の基準に達していない会社を排斥するわけですから、実態は消極的な 「 ネガティブスクリーニング 」 が一般的です。この底流にある思想は 「 CSRのダメな会社には投資しないぞ 」 というものです。
「 会社を育て、社会を発展させる 」 という金融の意義、「 社会的責任を果たすために投資する 」 というSRI本来の意義から考えると、既にCSRが高水準な会社よりも 「 これからCSRをやるぞ 」 という会社を応援するSRIファンドこそ必要とされているのであり、そこにこそSRIの意義があるのだと思います。




日本発のSRIを創る - いつもありがとね。( いよいよ次回は最終回 )


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