アンケートにみる安直さ


かつて企業のCSR担当だった頃、秋といえばアンケートの季節でした。アンケート用紙がみるみる机の上に山積みになります。評価会社やマスコミ、研究機関に行政と、よくもまぁ、こんなに…… 、と笑ってしまうほどです。


私が回答していたアンケートは、

  • 結果がオープンにされる(統計処理ではなく、個社単位で )
  • 評価基準が明らかである

この2つの条件のものでした。ということは、ほとんどのアンケートには回答しないということになります。


送られてくるアンケートにはほぼ全て、「 回答内容は統計処理し、内容については関係者以外には開示しません。結果は個別にフィードバックさせていただきます。 」 との旨が書かれてあります。
日本語に翻訳すると、「 みんなには内緒にするから、私だけにはホントのところ教えてよ 」 ということです。

だから、評価基準も内緒。どの部分をどう評価したかも内緒。他社とくらべてどうなのかも内緒。
「 どうせなら全てオープンにしましょうよ。どこの会社がどんなことやっていて、どういう評価をされているのかを世間の目で見てもらえばいいじゃないですか 」 と言うと、 「 オープンにすると回答してもらえない 」というお決まりの返事。


ほんとにそうなんですか? 例えば東洋経済新報社は、企業別CSRアンケート結果を 「 CSR企業総覧 」 という書籍にして売っています。回答する企業側にとってはかなり厳しい質問もありますが、2006年版では749社、2007年版では903社が回答しています。

もし仮にそうだとしても、回答してこない会社は 「 回答をいただけませんでした。 」 と記載すればいいじゃないですか。情報をオープンにする会社、しない会社、そこから良い会社とそうでない会社の選別が既に始まっているのだと思います。


アンケート、楽ですからね。自分で調べなくとも、他人が必要なことを全て書いてくれますから。

そもそも何のために会社を評価しているんでしょうか。評価会社が儲けるためだけ? それって、 「 社会のために 」 のSRI精神に反していますよね。会社を、そして社会をほんとに良くしていこうと思っているのならば、評価結果と判断基準を開示して、それぞれの会社に気づきをあげることが大切なのではないかと思います。