サブプライムローン問題とは


2日続けてサブプライムローン問題に関連したことを書いておりましたため 「 どういうことなのかきちんと説明して欲しい 」とのメールをたくさんいただきました。


「 米国のサブプライムローン問題 」とは、通常であれば住宅ローンを組めないような信用リスクの高い低所得者層の個人に向けて金融機関が住宅ローンとして資金を貸し付け、結果としてその仕組みが破綻したという問題です。

アメリカの住宅市場は1990年代の初めから上昇トレンドに入りました。10年単位で2桁増と確実な人口増に加え、近年は米10年国債に最も連動するといわれる住宅ローンの金利が、10年国債とともに歴史的な低水準にあったこと、雇用の不安が少なかったことなどから、住宅着工件数、販売件数、販売価格ともに2、3年前まで右肩上がりに伸び続けてきました。
トレンドが長く続いて、多くの人がもう買ってしまった、価格が上がった、などのことから買い手は減ってきました。一方で、住宅を建て過ぎて物件は余っていますから供給業者側は何としてでも買い手を見つける必要があります。そこで業者は金融機関と組んで一計を案じ、それまで信用力がなくて資金が借りられずに住宅価格の上昇を指をくわえて見ていただけの人たちに融資を持ちかけ、新たな購買者層を作り上げたのがサブプライムローンなのです。
そして金融機関は格付け会社と組んで、サブプライムローンを担保とした高格付けの証券化商品を組成し、機関投資家やファンドに売りつけました。
そして7月10日、格付け会社が突然にサブプライムローン担保証券を軒並み格下げしたのであります。これをきっかけに、サブプライムローンを直接、間接に組み込んだ証券化商品の価格は底なしに下落して取引は事実上停止、時価評価もできなくなってしまいました。つまり、この時点でローン資金の出し手が市場からいなくなったわけです。
格付け会社サブプライムローンを組み込んだ証券化商品を売りやすくするために、当初、意図的に格付けを高くしたのではないかと言われています。


話をローンに戻します。ローンを貸し付けた当初は低い金利を適用し、返済の後半で金利が高くなります。その頃には当初買った住宅の価格が上がっているだろうから住宅を売って返済すればよいというのがサブプライムローンの基本的な考え方です。 「 返済していく途中で住宅の価格は上がっているのだから… 」というのが無事にローンを返済できる場合の前提となっているわけでして、逆に住宅の価格が上がらなかったら当然に破綻するのです。

日本でもバブル期に、「 ゆとり返済 」とかの名称で最初の5年とか10年は返済額を低く設定する住宅ローンがありました。この期間は金利だけを支払う形になっていて、元本はほとんど減らないわけです。それがバブルが崩壊した途端に住宅価格は下がってしまい、ほとんど減っていない元本を抱えて自己破産する個人が続出しました。

サブプライムローン問題が日本のバブル崩壊時と違う点は、損害が大手機関投資家ヘッジファンドにまで及んだことです。証券化されたサブプライムローンを、高格付けで儲かるからと買った、考えなしのプロ投資家たちは大損害を受けました。
日本の個人投資家から見れば自分には関係のないような話に思えるかもしれませんが、実は自分が保有している投資信託に組み込まれているかもしれないし、自分の入っている生命保険に影響があるかもしれない、ひょっとしたら預金が戻ってこないかもしれない、ということなのです。
世界中の投資家がそのような憶測と、近い将来確実な米国の個人消費の落ち込みを恐れ、世界同時株安が起こったのです。

英中銀がノーザン・ロックに金融支援、信用収縮で資金繰り悪化


イギリスで住宅ローン取り扱い高では第5位であるノーザン・ロック銀行において、預金を引き出そうとする顧客が殺到して列ができるという取り付け騒ぎが発生した。原因はアメリカ発のサブプライム問題によって資金繰りが苦しくなり、イングランド銀行に支援を要請したため。