ランキングって必要ですか?


私たちはランキングが大好きである。
とりあえずタイトルと順位さえ見れば全体のことが判ったような気分になる。たいして頭を使わず簡単でありがたい。メディアが手を変え品を変えランキングを公表するのは、需要があるからだ。


CSRランキングもいろんなところから公表される。審査委員長が著名な大学教授とか、NGOの代表理事だとか、権威付けにも工夫がされている。それぞれが独自の採点方法で評価しており、自分のところが一番正しいようなことを言っている。評価基準を公表していないところもある。なぜ? と考え込むような順位になっているものもあるのだが、公表されたものが世の中では事実となる。そして、そんな会社なんだなぁと、世間からは見られる。
CRS担当者にとってランク入りするとしないとでは天国と地獄である。トップ10なんかに入ると社長のおかげとなり、ランク外だと自分のせいでもないのに責められる。


ランク付けするためにはなんらかの根拠が必要になる。それはGRIガイドラインへの準拠性であったり、ISO認証取得状況であったり、CSRレポートの出来具合であったり、思いつきで作られたアンケート調査の結果であったりする。

とにかくランク入りしたい、高い評価を受けたいと思う会社はとせっせと証拠作りにいそしむ。結果として寄付金額が増えたり、CO2排出量が減ったり、グリーン電力購入量が増えたりして、受益者にとっては結果オーライなのかもしれないが、そんな会社が本気でCSRをやっているとはとても思えない。


これに輪をかけるのがSRI( Socially Responsible Investment:社会的責任投資 ) である。評価会社が投資適格かどうかを勝手に格付けする。適格ということは 「 いい会社ですよ。株を買ったら儲かるかもしれませんよ 」と評価されるわけである。

評価される側としては当然、適格になるべく一生懸命努力する。しかし、小手先の対応をやっていたのではどんどん本質からズレていく。「 これまでになかった新たな価値を生み出し、社会にとっていいこと、正しいこと 」 を行い経営の本質を磨いていくよりも、そのほうが簡単だからである。CSRランキングがPRの道具になってしまっているのである。


世の中ためになることを地道に実践していたら、知らないうちにランキングが上がっていた。まあ、ランキングなんて当社は興味ありませんけどね、というような一流の精神を持った会社であることを目指してもらいたいものだ。