会社の最も大切な資産は「 信用 」 である。


CSR活動として社会貢献だとか、環境保護だとか、コーポレートガバナンスだとか、いろいろ言われているが、いった何のためにそんなことをやっているのかという根本的な議論がない。妙なCSR指標のおかげで、CO2の削減量とか、エネルギー使用量とか、女性の雇用率とか、寄付金額はいくらだとかの枝葉末節の結果しか見ていないように思う。

会社の最も大切な資産は「信用」である。経営者が貫くべきは、その信用を守るための考え方。従業員が行うべきは、その信用を守るための行動にほかならない。


日本で初めてセキュリティ産業を興し、ゼロから信用を築き上げて、警備から保険、医療、介護、食まで、日本の安全を任されるようになった経緯が淡々と語られる。

変化を求め、未知のことに挑む。そこから活力が生まれます。新しいことをやらない企業に価値はありません。新しいことにはリスクがつきものですが、得られる利益も大きい。そのリスクと利益の両方を株主と分かち合うからこそ、株式会社は存在するのです。
社会や人が喜ぶことをやろうと思うのであれば、規制なんかに頭をわずらわせることはないんです。社会にとっていいこと、正しいことは、必ず通るからです。それは長年の経験で私の確信になっています。


◆お父さんから言われた言葉を心に

  • 間違った商売はそのうちに必ずダメになる。見てなさい。
  • 浮利を求めるんじゃない。そういう癖がついちゃいけない。
  • 人の真似をするなよ。


安直な方法、楽な方法は、そのときはよくても将来的には決してよくない。難しい方法を選び、それを突破すれば本当の力がつく。


企業とは何であるか。CSRとは何か。
CSRとは企業の透明性を高め、説明責任を果たすことである。それがステークホルダーの企業に対する信頼、そして安心につながる。
だから、CSR指標などという客観的な数値情報を開示することはあまり重要ではないと私は思う。


例えば、食品企業において「 食の安全 」ということが何故問われるかというと、それはその企業が信頼されていないからである。ステークホルダーが不安に感じるからである。そして、不安に感じるのはほんとうの企業の姿が「 見えないから 」である。
その不安を解消するために必要なのは、企業自身がその活動のプロセスを明らかにし、説明責任を果たすことである。自身の透明性を高め、きちっとした説明を行っていくことで不安は解消され、信用につながる。
その食品がどうやって作られているかということをきちんと提示することで、( 客観的な安全どうこうの話ではなく )ステークホルダーの不安を拭い去ることこそが「 食の安全 」を示すことでありCSRの実践なのだと思う。


もちろん具体的なものに落とし込んでいく必要はあるが、あらゆる企業のCSR活動の課題はガバナンスとコミュニケーションにある。



引用文献: 「 世界のどこにもない会社を創る! 」 飯田 亮 著、草思社