地球温暖化問題で利益を得ようとする輩


今を遡ること23年前、昭和59(1984)年の元日朝刊で、朝日新聞は「 海面上昇で山間へ遷都計画 」と題した記事を掲載した。「 6兆円かけて20年かかり 」「 脱出進み人口半減 」という見出しが躍る。「首都に迫る海。警戒水域まであと1メートルに」というコメントのついた架空の航空写真まで掲載されていた。世界の平均気温は50年前の15度から18度に上がり、この結果として極地の氷の融解が加速度的に進むことによって海岸都市の一部が水没する。
実は、この記事は「 50年後の2043年1月1日の新聞にこのような記事が載るだろう 」という但し書きがついたシミュレーション記事なのだが、それが架空の物語であるという記載はどこにもない。だから、多くの読者は現実的な予想と捉えただろう。
これが「地球温暖化問題」のはしりとなった記事だった。

朝日新聞は、事実を正確に報道したり、相対立する見解の両方を公平に紹介することよりも、自らの考えで読者を説得( 時には扇動 )することに熱心であるようだ。慰安婦募集で悪徳業者を取り締まろうとした陸軍省の文書を「 慰安所、軍関与示す資料 」と報じて、さも陸軍が「 関与 」したかのように見せかけた記事などが、その例である。最近では「 沖縄の声 」と大見出しを打った教科書検定削除沖縄抗議集会だ。11万人が集まって抗議集会したと報道してが、実際は1万3000人そこそこだったようだ。
この「 首都水没 」記事も、その類である。武田邦彦・中部大学教授の最近のベストセラー『 環境問題はなぜウソがまかり通るのか 』には、地球温暖化説のあちこちに仕組まれたウソが暴かれている。


UNEP( 国連環境計画 )やWWF( 世界自然保護基金)なども、ヒマラヤの氷河の減少によって何億人もが水不足になるとの発表を行っている。しかし、ヒマラヤの氷河は増加しているとの調査結果がある。

「 Himalayan Glaciers Are Growing ... and Confounding Global Warming Alarmists 」

WWFは過去にも日本に対して「 割り箸 」や「 クジラ 」で感情的ないちゃもんを付けたが、そこには科学的妥当性はこれっぽっちもなかった。

温暖化による排出権取引の市場規模は1000億ドル規模に膨らむとも言われている。当時蔵相だったイギリスのゴードン・ブラウン首相は、数年前から「 ロンドン・シティを国際炭素取引市場の中心地にしたい」と排出権取引の市場拡大に意欲を燃やしていた。

原発大国フランスなどの資本家は、当然、二酸化炭素の排出の少ない原発の燃料であるウランを独占している。温暖化対策ビジネスにおいては、ウランを国際的なマーケットにして売り込むという側面もある。
「 偽装 」的言説の陰には、それによって利益を得ようとする輩がいる。