地道な努力


大鵬という、その図体だけでも何千里もあるという、それはもう常識を超えた馬鹿デカい想像上の鳥がいるんです。

とにかくデカいですから、もう九万里もの高さにグングン上昇して、それだけの風をその翼の下に積んでからでないと、目的地に向かって飛ぶことができないんです。
翼の下に厚く厚く風を積まなくてはならない。


ヒグラシや小鳩のような小さい連中は、それを見て嘲笑するんです。彼らは小さいから、壮大な大鵬の志など知るよしもないのです。

大きい船を載せるためには、その下に深い水が必要です。
ケチな水溜りみたいなところじゃあ、おもちゃの船がせいぜいで、立派な壮大な船を載せることなんかできないんです。


志が大きければ大きいほど、その下に風を積むこと。
努力が結晶化するためには、忍耐強くあなたの翼の下に風を積むこと。
大空へ舞い上がる志が大きければ大きいほど、それだけたくさんの地道な努力が必要なのだということです。


引用文献: 荘子・内篇 」 逍遥遊篇、 森 三樹三郎 訳、中公文庫刊