人の幸せを軸とした経営


SR規格(ISO26000)、企業行動をより良い方向に誘導するために規格は必要なのでしょうが、この裏にある価値観は従来の産業資本主義の延長のように感じます。つまり、これまでのグローバリズムの企業活動はどちらかというと、「 企業の世界 」と「 個人の世界 」とはその拠って立つ価値観で重なるところはなく全く別次元というものです。
結果、「 環境は汚れるが職を得て食べていけるので目をつぶる 」という環境破壊の根本的な「 背反ロジック 」からは抜けられず、できるだけその乖離を少なくしていきましょうということ。

ISO14001でもそうなのですが、規格の常であるPDCAに私はずっと違和感を感じています。組織としての運営上、必要なものであることは頭では判っています。
でも、目標管理する経営は基本的に欧米的対立構造を前提とし、そこで重要視される目標とは、もともと他人に何かを強制し管理するためのものでしかありません。

SRには「 目的 」が欠けているのではないかと思います。「 社会的責任を果たすことが目的だ 」と有識者の方はきっと言われるのでしょう。では、その結果どうなりたいのでしょうか。


目標は量であり、目的は質です。
目的には、人を動かしたり、人とつながる理由やきっかけがありますが、目標にはそれがありません。
目的にはオリジナリティがありますが、目標にはありません。
だから、みんな同じでつまらなくなります。


" 人の幸せを軸とした経営 "を目的にする、目標管理よりも方針管理。
例えば、利潤を追求して成長を求める企業活動と、一個人の生き方、ライフスタイルであるLOHASとが重なるためにはどうすればよいのか。


今考えられることが4つ。

1.本業を通じての活動
あくまでも本業を通じての企業活動が持続可能、人間の幸せに結びつくものであること。つまり、商いのおおもとである商品( 製品・サービス )が、人道に反していない、むしろ、人の幸せに直結するものであること。


2.地域と共に栄える
企業が商売させていただいている地域を「 人や自然資本を絞りとれるだけとる、搾取対象 」ととらえるのではなく、地域と共に栄え、発展する姿勢。ただ富を蓄積するためだけではなく地域へ還元する。


3.肯定的なビジョンを持つ
何はともあれ、ビジョンがなければならない。そしてそこでは、徹頭徹尾理想を語る。妥協はしない。


4.企業ならではの周囲へ良き影響力を発揮する
すべてのステークホルダーに「 あの企業とつきあうと自分が成長する 」と思ってもらえる。贔屓企業を応援することで、自分もまた成長できる。そんな影響。そこで働く人も、自分の人生の充実と会社の成長を素直に重ね合わせることのできるような、そんなマネジメント。


幸せをお金や物で定義していた時代は終わりました。" 人の幸せを軸とした経営 " をやりましょう。