幸せな人は、自分より上は見ない

人間社会はすべて比較論で成り立っている。よく「 人は人、自分は自分 」と言われるが、現実的にはそんなふうに達観することは不可能に近い。人間というのは他人と自分を比べずにはいられない動物だからだ。
ギャンブルを楽しむコツは、勝つことを目的にしないことである。他人の作ったルールで生きると人生はしんどくなる。


人生は「成功か失敗か」ではなく「絵になるか」だ。私たちが『プロジェクトX』を見て感動したのは、そこに完成に至るまでの紆余曲折や苦労があるからだ。
人生を豊かにするのは、自分の満足感のためにお金を使う、「 消費 」である。投資は文化を生まないが、消費は文化を育てるからだ。
ときには損得抜きでお金を使わなければ、ビジネスも人生も魅力的なものにはならないのではないだろうか。


買えるけれど買わないのは、それほど幸せなことではない。最も幸せなのは、実は買いたいけれど買えないものがあることなのだ。
コレクションがコンプリートしてしまったら、喜びはそこで終わってしまう。あと少し、百パーセントを目指しているのにあと1パーセント届かない。人間にとって最も幸せな状態は、この届きそうで届かない状態なのではないだろうか。


失敗をしないと人間は成長できない。つまり、失敗を防ぐということは、成長の芽を摘む行為だと言うことができるのだ。


こだわりというのはタイヤキの継ぎ目のところにできるカリカリっとしたはみ出し部分のようなものだ。あのはみ出した部分があることによって、タイヤキの形はちょっと崩れるが、個性と味わいが増すのである。


心のキャパシティを一杯にしないためにいちばんいいのは、忘れられることはどんどん忘れてしまうことだ。


上を見れば見るほど人は不幸になっていく。幸せな人は、自分より上は見ない。


引用文献: 「 下を向いて生きよう。」 安田佳生 著、サンマーク出版