ミッチェル・メイという生き方


< ミッチェル・メイ …… Mitchell May >
ミドル・ネームは「 モーゼス 」。全米で五指にはいる著名なヒーラーであり、かつ、現オーガニックフードメーカー、シナジーカンパニーCEO( 最高経営責任者 )。
自然療法医の資格をもち、心理学の博士号も併せ持つ。1972年、31歳のときひどい自動車事故により、医師からは復帰絶望を宣告された。しかし、後に彼の師となる偉大なヒーラー「 ジャック・グレイ 」のあらゆる次元でのヒーリングにより、奇跡的に回復。あまりの回復ぶりに、当時から、ありとあらゆるメディアに取材される。ここから彼の人生は大転換をみせ、ヒーラーであり経営者である現在のミッチェルへ。全米を代表する14人のヒーラーを語った書籍「 Healing Spirits 」の表紙を飾る。無報酬で非常に質の高いヒーリングをまわりの人々に施していたことで、ヒーリングを受けたいひとが毎日、列をなすようになる。そこで彼は、ヒーリングの代替物として完全無欠のオーガニック製品を世に送り出し、異例の販売を達成。ヒーラーであり経営者というユニークな実践者から学ぼうとする人は、いまも世界に絶えない。



★ 無自覚のうちに、相手を傷つけてはならない。
私たち、たぶん日常的にやっています。「 いや、やっていない 」というひとは、単に自分で気づいていないだけかもしれない。私たちは自分の今の立っている位置、行動によって、それが自動的に及ぼす影響を、「 相手の目線で 」事前に関知することは難しい。あるいは、わざとしないとように自動化している。


★ 無欲な男が人間を救う。( 女性でもいいんですよ。もちろん。)
自分の立っている位置が、「 無欲な男( 女性 )」と「 WANTS の男( 女性 )」とではまったく違う。目線の違いが、人類を救うほどの仕事ができるかどうかの別れ道。


★ 自分の望んでいるものが、自分の望んでいるカタチで人生にやってくるとは限らない。
死んでもおかしくない事故にあったミッチェルは、しかし皮肉にも、その時点から人生の大転換を迎え、本来の彼の道へと大きなチカラで導かれていく。しかし今の彼なら、転換点が事故というカタチで現れなくてもいいのだ、その方法もあった、と語ることだろう。


★ きみは、きみに、なっていく。
美しい言葉だ。人生という大きなちからは、時間のなかで、いずれにしても、あなたをあなた本来の、つまり魂がコミット( 決めて ) してきた方向に導くだろう。起業家の方が自分の事業ドメインを決める場合にだって、この言葉は響く。畑を耕すお百姓さんにも、等しくこの言葉は響くだろう。この言葉の後ろには、広くて豊かな考え方がひろがっている。人生とはなにか、という質問に、ある意味で答えている言葉かもしれない。


★ 子育ては、一生かけてやる大切な仕事である。
80年代などの成長期のかつての日本の男性の成功モデルには、こうした視点が欠けていた。だって、自分の家庭が幸せになるために仕事をするんだから。子育ては経営とおなじくらい、面白く、かつ厳しい仕事だ。


★ 因果の法則を知っている事業家が、いい事業家である。
自分がとったアクション、会社が決定したアクションは社会的にあるインパクトをもつ。その会社が世の中に送り出すプロダクト自体だってそうだろう。老練の経営者が行き着く哲学を事前に知っていたら、どんなに役立つか。与えたものが自分に返ってくる。


★ 自分が無力であるほうが、お客さまがあなたを見つけてくれる。
ミッチェルは広告を打ったことがない。セールスマンが売りにいったこともない。彼の会社で雄弁に語ったのは、唯一彼の「 プロダクトだけ 」だった。本当に安全で、わが子に「 これ飲みなよ 」と言える商品をつくりつづける、これだけが彼の無骨なやり方だった。


★ ビジネスとは、スピリチュアル・プラクティス( 実践 )の場だ。
スピリチュアリティは、宗教の教義のように信じるものでもなければ、なにかきわどい考え方でもない。非常にプラクティカル( 実践的な )で日常的な価値、考え方。それとビジネスとは、反対側にあるものではなく、実は密接に結びついている。30年会社を経営したあとで気づくことを、最初から知っていたとしたら、即使えるじゃないですか。


スピリチュアリティは、日常の世界に翻訳しなければならない。
私たち生活者、ビジネスの実践者は、宗教家ではない。スピリチュアルな考え、哲学を、きわめて日常的で具体的なことがらに着地させていく作業を日々おこなっていくことで、それを単なるお題目ではない、なにものかにすることができるのだ。


★ あなたが相手の完全性を見ることができれば、相手はかならず、そうなる。
この言葉の語る内容は非常に深い。深いコンテキストで理解せねばならない。あなたが主婦であろうと、ビジネスパースンであろうと、あなたの前にいる人を「 あなたが 」どう認識するかで、そのひとの未来、可能性がポジティブに影響される、そのようになっていく、という驚異的な発見である。セラピストの話法は、この法則をある種、使っている。


★ 自分の力ではない、別の力で動かされるときもある。
これはビジネスパースンであろうと、主婦であろうと、「 理由があって 」なにかが起こるときには、経験されているのではないだろうか。なにかのチカラで別の地平に運ばれる感覚。


彼は、ヒーラーであると同時に、人生の表現の一形態としてビジネスをやっている。ヒーラーが、自分の信念を曲げずにビジネスをすれば、どうなるのかというのを実践しているのです。今ではエコ・フレンドリーな会社は増えてきたが、彼は最初から確固たる信念の元に経営している。
あたりまえに思えることをあたりまえにしていくこと、誠実に精一杯生きていくことの大切さを再認識する。
ヒーラーと言うと何か胡散臭いような非現実的な存在だと感じてしまうが、地に足のついた生き方をしているところにとても共感と安心感をおぼえる。


引用文献: 「 ミッチェル・メイ・モデル 」 ミッチェル・メイ、若松 英輔 著、 ヴォイス 刊