コア・コンピタンスの脆弱性

企業の競争力の源泉を「 コア・コンピタンス 」と呼ぶ。競争優位性を確保・維持していくには、ここに経営資源を注ぎ込んでいくことが必要だ。


コア・コンピタンスの基本は、他社にマネされないものであることだ。他社にマネされないためには、「 何だかよくわからないもの 」である方がよい。競争力の源泉が、容易にマネされるものであったり、すぐに失われてしまうものであったりすると、それは経営の大きなリスクとなるからだ。
製造業の場合、「 コア・コンピタンスは技術力である 」と一般には認識されている。確かに、競争力を担っているのだから、技術力(もしくは技術情報 )がコア・コンピタンスであるかのように見える。しかし本来は技術力そのものではなく、それを生み出す力をコア・コンピタンスと考えるべきだろう。


コア・コンピタンス経営資源を注ぎ込む対象だ。「 生み出す力 」を強化するためにそれを行なうことはできるが、技術情報そのものに対して経営資源を注ぎ込むわけではない。そして技術情報を「生み出す力」を特定人材が担っているとすれば、コア・コンピタンスの「 脆弱性 」が浮かび上がってくる。だからこそ、人材の流出を防止しなければならない。
経済産業省の調査によると「 人を介した技術流出のうち日本人退職者によるケースが38%と最も多い 」という。まさに「 企業は人なり 」だ。”人”の質に依存しているサービス業は言わずもがなである。


あなたの会社では、コア・コンピタンスをどのように定義していますか。その「 脆弱性 」について認識していますか。対策を講じておかないと、会社の存続すら危うくなってしまいますよ。