お父さん、ご馳走だね!


私が開いていた料理本を横から覗き込んだ娘が、「 お父さん、ご馳走だね!」と言う。
不憫である。
この本は、「 豪華フランス料理フルコース 」とか、「 一流料亭のお薦め懐石 」などではなく、 「 粗食のすすめ レシピ集 」なのだから。


メタボ防止に絡んで売れているとのことで、お客さまからいただいたもの。
でも、当家の水準に照らし合わせてみると決して「 粗食 」ではない。とんでもないご馳走なのである。ほんとうの粗食を体験したいならば一度我が家へ来ていただけるとよい。一汁一菜を上回る、すばらしい粗食をご提供しよう。1週間に1度は断食体験もできる。永平寺の修行僧もびっくりなのである。とてもお得なのである。


というような話を娘としているのに、ウチの奥さんは涼しい顔をしてこう宣うのだ。
「 だから健康なんじゃないの。感謝して欲しいくらいだわ。」