はびこる官僚体質


本社はすべての権限が集約され会社をリードするところのはずである、しかしその自覚も能力もなく、ただ君臨するだけの本社がある。


本社の官僚化は手続き主義に陥ることから始まる。
無能な官僚たちは、支店に膨大な資料を要求し、呼びつけ、審査と称する手続きを重ねる。そのために実に多くの会議が重ねられ、時間が浪費されて意思決定が遅れる。決裁までには40〜50のハンコが押されるが、責任をとる意思のある者はいない。中身より形式、コンセンサス重視なのである。


支店や関係会社にとって、本社は御殿でもある。本社の覚えをよくしておくことは重要なのだ。自分たちの案件をスムーズに承認してもらえるよう、太いパイプをつくっておかなければならない。異常とも思える本社接待が常態化していく。本社の幹部が視察や出張で支店を訪れたとき、支店の至上命題は、幹部に気持ちよくお帰りいただくこと。したがって、もちろんのこと不都合な情報は提供しない。支店視察も見栄えの良いところだけを見せ、まずい場所には案内しない。昼食には幹部の好物を用意し、夜はその地方の一流店で手厚く接待する。本社ピラミッドによる縦社会では大切な作法なのである。


大多数の本社族はこの異常さにまったく気づかない。むしろ、当然のことと受け止めていることに問題の根の深さがあるのだ。