長生殿

気品



寛永2年( 1625年 )創業の金沢 森八。金沢の和菓子はこの森八から語られる。前田藩三代藩主、前田利常の着想によって森八で創製されたのが、日本三大銘菓のひとつと言われる 「 長生殿 」。


材料は、越中砺波産の良質のもち米の粉と四国阿波産の和三盆糖、それに少量の糖蜜。これらを混ぜ合わせて長方形の木型で型抜きした落雁である。表に打ち出された篆書体の「 長生殿 」の文字は、遠州流茶道の祖・小堀遠州守政によるという。今でも紅花を使うこだわりの淡い紅と、素の白との一対の菓子には由緒ある気品が漂う。


手で折って口に含むと、香ばしさのなかに和三盆の上品な甘さがさっと広がり、す〜っと溶けていく。お抹茶といっしょに、風雅を楽しみたい一品である。