こゞめ大福

音無川の米どころ



江戸時代、根岸の里は音無川( おとなしがわ )の清流が流れ良質のお米がとれる米どころであった。農家の人々は年貢に出せなくなった割れ米や粉米( こゞめ )を集めてお餅にした。根岸にある茶屋がこの餅に餡を包み入れて上野輪王寺宮公弁法親王に献上したところ、お褒めの言葉をいただいたという。


この故事にちなんだのが、根岸の竹隆庵岡埜( ちくりゅうあんおかの )のこゞめ大福。小豆は北海道十勝産、もち米は初代が生まれた新潟のこがね餅とこだわりの最高級原材料を使用して復元した。
普通の大福とはちがっており、もち米を半搗きにしたものを皮にし、なかに小豆のつぶしあんを包んでいる。皮には米粒がポツポツと。でも食べて舌にはあたらない。ほんのり焼いているため、なめらかでこしがあり、歯切れがいい。もち米のうまみと、うるち米のさっぱりした感じに、ほどよい塩味が相まっている。あんは自家製で、こくがありこってりしているが塩味をきかせているのでさっぱりとした後味。


よもぎ餅と白餅の2種類があり、中はどちらもつぶしあん。大ぶりで、あんがたっぷり入っている。もち米から作られるお餅のぎゅっとした弾力と違い、空気を含んだかのような、粘りの少ない米の粒の残ったお餅は、大きく分厚くてかなりの大きさなのに、食べ終わった後も重く感じない。