源氏巻

吉良上野介由来


「 源氏巻 」 は、小麦粉に卵、砂糖、蜂蜜を混ぜた薄い生地で小豆のこしあんを巻いて平たく焼いたお菓子。卵の風味がかすかに漂い、ふうわりしっとりとした皮にきめ細かな湿り気のあるあんの甘さがぴったり調和している。


津和野藩亀井家の三代目藩主であった亀井茲親( これちか )が勅使の接待役を任せられ、指南役である高家吉良上野介に教えを請うことになった。しかし上野介は接待の方法を教えなかっただけでなく、逆に茲親を愚弄したために茲親は上野介を切ろうと決心する。藩の家老であった多胡外記はこれを知り、小判をカステラの様な平たい生地に包んで上野介に進上して機嫌を取り上野介から茲親に勅使の接待の方法を伝授してもらい騒動が起こるのを阻止したという。
津和野藩では小判の代わりにあんを包んだお菓子を、藩の危機を救っためでたい物として扱うようになった。そこで御用菓子司が銘名を頂くため、このお菓子に紫色の餡を詰め込んで藩主に進上した。この際、藩主の奥方が紫色のあんに感動し、『 源氏物語 』 の「 若紫 」 に出てくる和歌「 手に摘みていつしかも見ん紫の根に通ひける野辺の若草 」 を詠んことにあやかって「 源氏巻 」 と名付けられたという。


津和野町にはいくつも源氏巻を作っているところがあるが、山田竹風軒本店のものが有名である。第23回全国菓子大博覧会 名誉総裁賞 受領。