家伝ゆべし

鶴の翼



上質なうるち米生地の中にこしあんを包み蒸し上げたのが、福島県三春にある、かんの屋の「 家伝ゆべし 」。


三春は坂上田村麻呂将軍から数えて、二十五代目の後裔、田村義顕公によって開かれた町。かんの屋は1860年からゆべしを作っている。かんの屋のゆべしは『 東北ゆべし 』 と言われ、上新粉、醤油、砂糖等を混ぜて生地に、国産小豆の皮を取り除いたこしあん( 皮むきあん ) を包み蒸しあげる。 熟成を経て蒸し上げられた生地は透き通るようなべっ甲色。ふっくらもっちりの上品な生地にさっぱりとしたこしあん、ほのかな醤油の香りにけしの実がアクセントに加わり、美味しさをさらに引き出している。


「 家伝ゆべし 」 が三角の型をしているのは、その昔、坂上田村麻呂が生まれるとすぐに山に捨てられ、二羽の丹頂鶴に育てられたという故事にならい、鶴が翼を広げた形になぞらえているからという。