企業評価指標はどこまで使えるのか


英国のSRI( 社会的責任投資 )調査機関であるEIRIS( Ethical Investment Research Service )社が、責任ある企業活動に関する世界の企業に見られる現状と傾向、将来予測について分析した調査結果を発表している。

「 The state of responsible business:Global corporate response to. environmental, social and governance (ESG) challenges 」

調査は、倫理的な評価基準および、環境、社会、ガバナンス( ESG)に分野を特定しており、「コーポレートガバナンス 」「 環境 」「 平等な機会 」「 人権 」「 サプライチェーン 」の各分野における動向と、地域・国別の比較がなされている。調査対象は23ケ国。欧州、アジア・太平洋、北米の3地域に分類しており、全1,996社、日本企業は424社( 全体の約24% )が対象。

この結果を元にEIRIS社は、「 ファンドマネージャーはESG関連課題に投資分析を関連させることで長期的な企業パフォーマンスに関する深い理解が可能になる 」と主張している。その理由は、企業の中には責任ある企業活動を実施・促進したことで明らかな利益向上につながったケースが存在している、というだ。また、倫理的な消費者行動も増加しつつあることで、企業は倫理的なブランドイメージを構築することで一層多くの消費者を引き付けることが可能になると説明している。
つまりは、ESGがSRIにおけるKPI( Key Performance Indicators:主要業績評価指標 )として実効性があると言っている訳である。
確かにこのような分析を見せられると、「 そうかぁ〜、なるほど。 」と思ってしまう。


KPIは判り易くて役に立つのだろうが、ほんとにそれが企業経営の実態を表すかということとは別問題だ。
正味期限を長年にわたり改ざんしていた石屋製菓 ( 「 白い恋人 」の製造元 )は社会貢献に熱心だったことでも知られている。プロサッカーチーム 「 コンサドーレ札幌 」の発足に尽力したり、「北海道サマータイム 」を主導したり、子ども向けの社会教育番組を提供したりと、地域社会ではCSRに熱心な会社として有名だったのである。それでも、一方であのような不祥事となる事態を日常的に行っていたのである。