求められるもの


今、消費者が企業に求めているのは、商品の品質や安さではない。そんなものは備わっていてあたりまえなのである。お客様が企業に求めるもの、それは、もっと崇高な社会的存在意義である。


なぜ、その会社が存在しているのか。
その存在によって社会はどう良くなっていくのか。
この問いに答えられる意義と哲学を持った企業だけが求心力を手に入れることができる。だから、例えばトヨタはecoにこだわる。


少子高齢化が進むなか、中国という巨大なメーカー国家が現れ、ものづくり国、加工貿易国としての日本は大きな方向転換を求められている。働く目的は変化し、消費の嗜好が複雑になり、経営や商いのやり方を変える必要に迫られている。
今までの常識や成功体験は失敗へのマニュアルだと言っても過言ではないだろう。日本という国の構造、世界が日本に求めるもの、そして日本人の価値観そのものが変化してしまったのである。

だから、企業は生き残るために変化するしかない。商品を変え、戦略を変え、組織を変える。そのために意識を変え、仕事のやり方を変え、会社そのものを変える。それが生き残る唯一の道だと思う。


新しい経営はミッション経営である。
命令ではなく、社会との約束に従って人は働くようになる。「 社会にどのように貢献するのか 」 そのミッションそのものが、強烈な求心力とモチベーションを生み出す。

その時に経営者に要求されるのはスキルではなく、人間性とセンスである。
歴史や文化を学び、人生について考え、自らの哲学を生み出す。生き方のセンスを磨き、品のいい生き方をする。肩書きではなく、生き方で認められなくてはならないのだと思う。